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ハイカラ雑貨店 ナツメヒロ~物語の吹き出る異空間~

time 2018/06/25

ハイカラ雑貨店 ナツメヒロ~物語の吹き出る異空間~

今日は空の広いのどかな町、神奈川県相模原市の東林間へ。

シャンテ大通りという洒落た名前の通りを、小田急相模原駅方面へ進んで徒歩4分。
左側にカラフルな屋根と真っ赤なドアが目印の、ハイカラ雑貨店ナツメヒロが見えてきました。ここはナツメさんとヒロさんが営むお店です。

 

 

赤いドアを開いてみると…

コンセプト:物語を紡ぎ出すハイカラなお店

 

 

ドアを開けると「ここはどこ?」と、ファンタジーの世界に迷い込んだかのような感覚になります。ハイカラ雑貨店ナツメヒロは、「ハイカラ」と「物語」の要素が詰まったお店です。

日本的な要素と西洋の文化がごちゃまぜになっている世界。ナツメさんとヒロさんはそこに魅力を感じ、「ハイカラ」をコンセプトにお店が始まりました。

ヒロさんは日本の色彩美に惹かれ、学生の頃にはデザインを学びます。一方、ナツメさんはハイカラを意識したアクセサリを制作していました。

ヒロさん「物語の要素は後から加わってね」

ナツメさん「青い壁と赤いカーテンで、物語に出てきそうなお店にしました。ドアを開けた瞬間に、お客さんの頭の中でブワッと物語が展開するような」

ハイカラ雑貨店ナツメヒロの世界を表現する “赤いカーテン”と“青い壁”

ハイカラ雑貨店ナツメヒロの世界を表現する“赤いカーテン”と“青い壁”


ヒロさん「お客さんが自由に物語を考えられるようなお店にしているよね」

「なるほど。私もここに来て、森の中をのこのこ歩いて冒険しているようです。レトロで昔懐かしいものも目を引きますね」

 

 

ナツメさん「ディスプレイもかなりこだわってますね。ハイカラにみえるようなお店づくりをしています。どれも本当に使われていたものです」

「(レジの)後ろの時計もとても気になります」

カチカチと鳴る時計の音が、心地よい時間の流れを作ります。

カチカチと鳴る時計の音が、心地よい時間の流れを作ります。

ヒロさん「これは明治30年代から40年代の時計です。骨董市で手に入れました。通称“だるま時計”と呼ばれているものですね」

「ラジオみたいなものも、とても素敵ですね」

ヒロさん「あれは真空管ラジオなんです。音もきちんと出るよね」

 

 

昔どこかで吸ったような懐かしい空気に包まれるけれど、どこにもない空間。
ただの「ハイカラ」じゃなくて、そこにはちゃんと異界の物語が広がっていました。

「でも単純に好きだから、こんなお店になったよね」。コンセプトを決めたというより、ナツメさんとヒロさんの想像に任せて今のお店ができました。

夢から生まれた店名、「ハイカラ雑貨店ナツメヒロ」

 

 

「ハイカラ雑貨店ナツメヒロ」。
懐かしい響きの店名、実はヒロさんが夢を見なかったら、無かったかもしれません。

「ナツメヒロ」はナツメさんとヒロさん2人の名前をくっつけたもの。もともとハイカラをイメージしたアクセサリを制作していた奥さん(ナツメさん)は「ナツメ」を活動名にしていました。

 

 

そのうち2人でネット販売をはじめ、屋号をどうするか決めることになります。そんなとき、ヒロさんは夢を見ました。

ひょうたんには窓とドアが付いています。 作家さんが自分で育てたひょうたんなのだそう。

ひょうたんには窓とドアが付いています。
作家さんが自分で育てたひょうたんなのだそう。

ヒロさん「夢の中で“ナツメヒロ”っていう名前で、お店をやっていたんです。そのあと、夢の話をして2人で『ナツメヒロって変な名前だよね』って話していて」

ナツメさん「変な名前がいいじゃん、ってね」

ヒロさん「そうそう。それで“ナツメヒロ”でネット検索してみて、他に使っている人がいなかったから。これはいいと思って使うようになったよね」

 

 

完全な和テイストではなく、色んな文化が混ざった世界を織りなすお店「ハイカラ雑貨店」。これに続く「ナツメヒロ」ということばもまた、ヒロさんの夢の中の物語から生まれたのです。

「幻想少年展4『少年とアリス』」に見る、企画展へのこだわり

「幻想少年展 4『少年とアリス 』」のポスター。 7月 2日(月)まで期間延長 。

「幻想少年展 4『少年とアリス』」のポスター。
7月 2日(月)まで期間延長 。

ハイカラ雑貨店ナツメヒロがひときわユニークなのは、頻繁に企画展が行われていることです。今回開催されていたのは、2018年7月2日まで行われる「幻想少年展4『少年とアリス』」でした。

幻想少年。あやしい響きだ。
取材前から気になって仕方のなかったこのワードが気になり、聞いてみました。

 

 

ヒロさん「幻想少年の企画展は毎年やっていて、最初は少年のみがテーマでしたね。はじめは少年がテーマだったんですけど、少年に“異空間”をプラスしたり、単にかわいいだけじゃなくて奇妙な雰囲気を取り入れたりして、だんだんと発展していきましたね。」

「『少年とアリス』というテーマを見て思ったんですけれど、アリスって実は少年なんですか?」

 

 

ヒロさん「そう捉えるのもありですよ。作家さんの中にはアリスを少年だと考えている方もいます。企画展のテーマから広がる世界は、お客さんが自由に想像できます」

店内にかかる、かわいらしく、あやしげな音楽も気になります。

ナツメさん「気づいてもらえてうれしいです。お店の雰囲気づくりのために、音楽にはかなりこだわっていて。この音楽は『少年とアリス』に合わせた奇妙なトイミュージックです。企画展ごとに合う音楽を選んでいます」

「ジャバウォック」と呼ばれる架空の怪物。 ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』に登場する。

「ジャバウォック」と呼ばれる架空の怪物。
ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』に登場する。

ハイカラ雑貨店ナツメヒロの雰囲気づくりは、それだけではありません。作品を展示する場所も徹底して探し出します。『少年とアリス』の企画展は、入り口付近とお店の中央で展開されていました。

中央の展示は、まるで島のよう。

中央の展示は、まるで島のよう。

同じものでも置く場所しだいで作品が良く見えたり、逆に作品を損ねてしまったりする、とナツメさんは言います。

ナツメさん「作品は一点もので、作家さんの思い入れも強いから、何とかして一番良く見える場所を探して展示していますね」

お店のドアを開けた瞬間、出迎えてくれたドール。 この少年をアリスに見立ててみても楽しい。

お店のドアを開けた瞬間、出迎えてくれたドール。
この少年をアリスに見立ててみても楽しい。

ヒロさん「置く場所を決める途中で、『この角度いい!』ってなると、自分もしばらく動けなくなったりして」

ナツメさん「そうそう」

くすくすと笑うナツメさんとヒロさんは楽しそう。

 

 

置く場所で同じ作品がまったく違うものになる。それを徹底的に意識したお店自体が、1つの作品なのではないか、と思ってしまいます。

一番心に残っている企画展、『ハイカラアパートメント』

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ハイカラ雑貨店ナツメヒロの企画展は、「幻想少年展4『少年とアリス』」で42回目をむかえます。毎年、年に10回ほど企画展を開催します。

「これほど企画展を開催して忙しくないですか?」

ナツメさん「それほどでもないですよ。もっと開催したいくらいです。」

ヒロさん「毎年できない企画があるよね」

 

 

ナツメさんとヒロさんには、まだまだアイデアがあります。1年が365日では足りないくらい。『幻想少年展』や『旅人のトランク展』など、毎年恒例の企画展にはファンがついており、動かせません。スケジュール的に新規の企画展を入れる余裕がないんですよね、と悩みを明かしてくれました。

これだけの企画展をやってきたナツメさんとヒロさんなら、特段思い入れのあるものがあるはずだ。そう思って、忘れられない企画展について尋ねてみました。

真っ先に挙がったのが、2014年の『ハイカラアパートメント』です。

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ナツメさん「これは忘れられない企画展です。20人くらいの作家さんと開催しました。リンゴン夫妻っていう、私の落書きから生まれたキャラクターが大家で、作家さんの作品がそれぞれの部屋に住んでいるんです。小さい箱を用意して、それを部屋にして。部屋の内装は作家さんに任せました。」

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ヒロさん:「すっごい楽しかった、あれ」

ナツメさん「企画展の最終日には作品をぜんぶ集めて、解散パーティーをしたんですよ。全員集まって。作家さんたちも、この企画展はとても喜んでくれました」

最終日の解散パーティーの様子。 アパートメントの住人が一堂に会します。

最終日の解散パーティーの様子。アパートメントの住人が一堂に会します。

ヒロさん「あの一体感やばかったよね。それによく、自分たちはリンゴン夫妻に似ているって言われるんですよ」

ナツメさんの落書きを、ヒロさんがデザインしてできたキャラクター。 リンゴのお団子頭の奥さんと、リンゴの帽子を被った旦那さんは、アパートメントの大家です。

ナツメさんの落書きを、ヒロさんがデザインしてできたキャラクター。
リンゴのお団子頭の奥さんと、リンゴの帽子を被った旦那さんは、アパートメントの大家です。

アイデアは、ナツメさんとヒロさんの何気ない会話から生まれます。企画展のタイトルが思い浮かんでも、実現していないものがたくさん。

ナツメさんは小さな頃から、絵を描いたり、物語を思いついたりするのが好きでした。当時はそれを形にする力がなかったけれど、今につながっているのかもしれない、とナツメさんは言います。

 

 

「ナツメさんの創造力には驚いてしまいました」

「そんなことはないですよ。私はアイデアを思いついているだけです。企画展が実現すると、思った以上のものを作家さんが出してくれるから」。ハイカラ雑貨店ナツメヒロの異空間は、作家さんとナツメさん・ヒロさんの合作です。

「もっとカンペキな空間にしたい」

 

 

お店のドアを開いた瞬間、日常とは異質な物語空間が、そこにある。

ナツメさんとヒロさんが目指しているのは、そんな雑貨屋さんだと言います。

ヒロさん「お店自体を箱だと思えば分かりやすいかもね。その箱の中に青い壁と赤いカーテンがあって、音楽がかかってて。お客さんにはここで、物語の主人公になってもらえたらと思っています。それで、このお店の異質な雰囲気を持ち帰って、日常でも楽しんでもらいたいよね」

 

 

「でも、今の時点でもうお店の物語空間は完成している気がします」

ナツメさん「まだまだ全然。もっとカンペキな異空間にしたいよね」

ヒロさん「おこがましいけれどね」

笑いながらナツメさんとヒロさんが言いました。

  

  

どこまでも、物語の空間を追いかけてゆく。ハイカラ雑貨店ナツメヒロそのものも、冒険物語の主人公のようでした。

「ハイカラ雑貨店 ナツメヒロ」店舗情報
店舗名:ハイカラ雑貨店 ナツメヒロ
所在地:〒252-0311神奈川県相模原市南区東林間5-16-20
営業時間:12:00~19:00
定休日:火曜・水曜・祝日
※展示替えの影響で、企画展前後は不定休。展示会の期間が延びることも。
詳細はHPあるいはTwitterで告知。
アクセス:小田急江ノ島線 東林間駅から小田急相模原駅方面へ徒歩4分ほど
HP:http://natsumehiro.com/
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【ギフト対応】
お客さんの希望に合わせた簡易的なラッピングが無料。アクセントとなる素朴でかわいらしいリボンやテープがポイント。
購入したお土産をプレゼント用に包んでもらいました。 ラッピングもハイカラで素敵。

購入したお土産をプレゼント用に包んでもらいました。ラッピングもハイカラで素敵。


他店購入物の同梱・熨斗には対応していません。
Web通販に載っている商品は郵送可。店舗の商品は郵送不可。
ただし、店頭受付の抽選販売に関しては郵送可。

 

 

お会計を済ませた私は、レジ横に「お店番くん」を見つけました。これは「すねこすり」という妖怪です。

「群馬や栃木の山奥に住んでいるんです。歩きにくいなと思ったら、すねこすりの仕業です」

お店から出る最後まで、物語の中を散策している感覚で一杯になります。取材を終えた今、私はこっそり、ナツメさんとヒロさんのおふたりも、物語の登場人物なのではないかと思っています。

ハイカラ雑貨店ナツメヒロは、物語が湧き出す水源のようなお店でした。

Writer 瀬尾愛里紗


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