Be Cafe Magazine

Common Life~「ていねいな暮らし」で人がつながる場所

time 2018/06/04

Common Life~「ていねいな暮らし」で人がつながる場所

思いがけない雨が降る今日。
たどり着いた場所は、神奈川県川崎市の新丸子駅から徒歩4分のCommon Lifeでした。

こちゃこちゃとした商店街から外れた路線沿いを進み、右折した場所に佇む、静かなお店。ここにはどんな世界が花を咲かせているのだろう。

思い切ってCommon Lifeの扉を開きました。

「丁寧に暮らす、これが私のやりたかったことです」

 

 

ゆっくりと時間の流れるような、透明感のある店内で迎えてくれたのは、オーナーの佐藤由紀さん。Common Lifeのコンセプトは「毎日の暮らしをたのしく、ていねいに」です。

もともと看護師をしていた佐藤さん。

「あの頃は人のことばかりを優先して、体調を崩していましたね。『毎日丁寧に暮らせていますか』って言われても、丁寧な生活とは程遠かったんです。モノは壊れたら買えばいい、使い捨てでも困らない。忙しくしていると、そんな感覚で暮らしてしまいますよね」

撮影に応じてくれた佐藤さん。 白いテーブルクロスのかかった左奥のテーブルは、ワークショップのスペースです。

撮影に応じてくれた佐藤さん。
白いテーブルクロスのかかった左奥のテーブルは、ワークショップのスペースです。

「でも、丁寧に暮らせていない生活や、特徴のない使い捨てのお皿に違和感を持っていたんですよね。そんなとき、妊娠中に3.11が起こって、10年後がどうなるかさえ分からなくなりましたね。それに職場の環境も女性にやさしいとは言えなくて。子供を置いてまで今の働き方を続けるべきなのか疑問だったんです。

そんなとき、主人に背中を押されて、『仕事やめる!』って決めたんですよ。もともとアトリエが欲しかったのですが、お店を始めるのは老後の楽しみだ、なんて言っていられないと思って。私は“丁寧に暮らすこと”がやりたかったんですよね」

自分の家族や子供に対して、丁寧に暮らしたい。
コンセプトの種となったのはこの気持ちでした。

テイスト:「使いたい」という気持ちが紡ぎ出した世界

ゆらゆらと揺れる、涼しげなモビール。 これも作家さんの手作り。季節のモビールも販売しています。

ゆらゆらと揺れる、涼しげなモビール。
これも作家さんの手作り。季節のモビールも販売しています。

それぞれの作品は全く別の世界を持つのに、どうして不思議と調和しているのだろう。どんな基準で作品を選んでいるのだろう?

ふと思い立ち、佐藤さんに尋ねてみると…

「肌ざわりが良くて自然なものを置いているけれど…でも、ほぼ直感で選んでるんですよ。つきあう恋人と同じ!“私が使いたいかどうか”が選ぶ基準じゃないかな。実際に家で使っているイメージが湧くかどうか。直感で選んだ雑貨の雑多な雰囲気が、お店のテイストになっているんじゃないかな」

 

 

なるほど。
「使いたいと思えるか」を軸にすることで、個性の違う作品が1つの世界を紡ぎます。

「使いたい」という正直な気持ちがあるからこそ、説得力を持ってお客さんにその雑貨を紹介できる。
オーナーは作家さんの受け売りではなく、ユーザーレビューのような役割を担うこと。その姿勢がお客さんを裏切らないお店を育てる。

佐藤さんはそう言います。

「作家さんを応援しつつも、お店にいるときにはお客さん側に立ちたいんですよね」
Common Lifeには、毎日の暮らしで使いたいものばかりだなぁ。佐藤さんのこだわりを知って、そんな気分になった理由が分かりました。

Common Life:日常に「ていねいな暮らし」と「大どんでん返し」を

手のひらサイズのぬいぐるみを手掛ける、コノハナさんの作品。 このぬいぐるみは「ちっちゃいおじさん」と「ちっちゃいおばさん」です。

手のひらサイズのぬいぐるみを手掛ける、コノハナさんの作品。
このぬいぐるみは「ちっちゃいおじさん」と「ちっちゃいおばさん」です。

毎日の生活を想起させるCommon Lifeという響き。実はこの店名にはオモテとウラの2つの由来があるのだと、佐藤さんからこっそり聞いてしまいました。

「毎日の暮らしをたのしく、ていねいに」。このコンセプトが物語るように、人の手のぬくもりがこもったモノを長く大切に使ってほしい。それがオモテの理由です。

では、ウラの由来とは…。

ミニサイズのネクタイは、小さなお子さんにぴったり。男の子のおしゃれには最適ですね。

ミニサイズのネクタイは、小さなお子さんにぴったり。男の子のおしゃれには最適ですね。

「お店ができたころ、主人は映画会社に勤めていて。1995年のアメリカ映画「ユージュアルサスぺクツ(The Usual Suspects)」という映画を知ったんです。途中まで何の変哲もない物語が続くけれど、最後に大どんでん返しが起こる、という映画なんですね。“usual”は“常連の”という意味以外にも“普段の”という意味もあって。同じような意味を持つことばで“common”を思いつきました。映画の展開と同じく、ありふれた日常が大どんでん返しになったら面白いかもって思って。それでCommon Lifeにしたの。」

延々と続く日々の中、思いがけず起こる、大どんでん返し。
せわしなく流れる時間の中で、何か大きな幸せが待ち構えているような気配を感じる。店名・Common Lifeには、こんな由来がひっそり眠っていました。

日本全国の作家さんを応援したい

 

 

Common Lifeを始める前、佐藤さんは看護師の仕事と並行し、アクセサリー作家として活動していました。

仕事の片手間にアクセサリーを出品し、将来は自分のアトリエで細々とアクセサリー制作に励む。

「でも、ここ数年ハンドメイドが流行って飽和状態になって。それでも私がアクセサリーを作る理由はあるのかな、って疑問に思ったんですよ。それに他の作品のクオリティの高さにも打ちのめされていました」

 

 

「そう考えると、私にできるのは作家さんを応援することだなって思ったんです」

こうして目指す方向をシフトし、全国の作家さんが活躍する空間・Common Lifeが生まれました。

2018年5月現在、Common Lifeに展示されている作品は、東京や神奈川をはじめとした関東のものだけではありません。北の青森から南の福岡まで、日本各地で活躍する作家さんの作品が並びます。バッグ、アクセサリー、食器など、生活を彩るあらゆる雑貨がお店の中にひしめいています。

何もないところから、人と人の縁がつながった温かな空間

 

 

「作家さんの手作り雑貨は、どのくらいありますか?」

「今はお店の雑貨の半分が作家さんの作品ですね」

「開店当初は、どのくらいでしたか?」

「開店当初は100%、作家さんの作品でしたね。雑貨屋を始めたばかりのころ、何からはじめたらいいのか、全く分からなくて。何のツテもなかったから、デザインフェスティバルなどのイベントに出向いて、直接作家さんにアプローチしましたね。はじめての告白みたいに緊張しました」

Common Lifeで出会える作品は、佐藤さんのスカウトやお客さん・作家さんからの紹介によるものです。

その雑貨を使いたいと思えるかどうか。ぶれない基準軸を持って作家さんとつながり、お客さんを包みこむお店がCommon Lifeなのです。

私がお土産に購入した青森の工芸「こぎん刺し」は、マカロンのよう。

私がお土産に購入した青森の工芸「こぎん刺し」は、マカロンのよう。

「ここ(新丸子)に来てから、とても生きやすくなりましたね。作家さんとのふとした出会いに恵まれたし、地元のゆるやかなつながりが、とてもありがたいんです。近所の方が『良かったらどうぞ』とお昼ご飯をさし入れてくれることもありますね」

まさに、Common Lifeは「ていねいな暮らし」を通し、人と人がつながりを紡ぎ出す場所でした。

「Common Life」店舗情報

店舗名:Common Life(コモンライフ)
所在地:〒211-0006 神奈川県川崎市中原区丸子通1-640ブライトコーポ103
営業時間:10:00~18:00
定休日:日曜・月曜
※年末年始・お盆は不定期です。詳しくはホームページ、Facebookをご覧ください。
電話番号:044-920-9891
アクセス:東急東横線新丸子駅東口から徒歩4分。JR武蔵小杉駅北口から徒歩11分。
HP:https://commonlife.jp/
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【ギフト対応】
他店購入物の梱包は可能。ただし有料で300円から。
熨斗対応は、事前予約していれば可能。
郵送も可能。
 

 

ラッピングはシチュエーションに合わせ、お客さんと相談しながら決めます。中が透けて雑貨が見えるようなラッピングが特徴的。

 

 

 

取材を終え外に出ると、雨は止んで、きれいさっぱり晴れ渡っていました。土と緑の埃っぽい匂いとひんやりした空気の中、Common Lifeのショーウィンドウがきらきらと反射しています。どんよりした天気がこんなにも晴れてしまった、まさに“大どんでん返し”が起こる雑貨屋さんでした。

Writer 瀬尾愛里紗

 


ツールバーへスキップ